いろんなことが動き出したが
春、3月は異動と移動の月。
娘は新婚時代から住んでいたアパートから
旦那の実家に引っ越した。
思い切ったことをするものだと思う。
いまどき、旦那の親と祖母と同居するなんて。
何を考えているんだろう。
いや、考えに考えた結果なのだろう。
今月に入ってからあちらの両親の手を借り、
少しづつ荷物を運んでいたようだ。
娘が結婚するときに
一緒に探したアパート。
不動産屋とあちこち内見して回り
ひと目で気に入った。
我が家とはまったく違う、
最新設備を整えた
マンションのような部屋だった。
寸法を測り、
家具も家電もすべていちから揃えた。
娘と共にワクワクする日々だった。
娘が結婚してからは
ダンと一緒に何回か遊びに行った。
娘は自分の好きなものを飾って
楽しくやっていた。
みんなで近所にご飯を食べに行った。
美味しいところがたくさんあった。
昨年の孫の初節句には
鯉のぼりと兜飾りを届けた。
昨日が退去の立ち会い日だった。
がらんとした部屋の様子がLINEで送られてきた。
何もかも消えてなくなった。
いつまでも続くと思っていた楽しい日々が
また終わりを告げた。
旦那の実家で暮らす娘と孫に
私が会いに行くことはもう無いだろう。
息子の希望がようやく叶い、異動が決まった。
隣の県に部屋を借りて今週末には引っ越してくる。
そこを拠点に仕事をするようだ。
息子は田舎家の暮らしを嫌っている。
就職と共に家を出てもう10年以上。
日本のあちこちを転々としながら
都会暮らしを満喫していた。
私も今更、同居もどうかと思っていた。
好きにすればいい。
みんな好きにすればいい。
動きのないのは私だけ。
ダンがいなくなった家で
じっと息を殺して生きている。

