4の匂いを感じた
昨日は農家組合の共同作業の日だった。
会いたくない人たちと顔を合わせる。
それも、大勢の人と。
みんなダンのことをよく知っていて
こちらをしげしげと見てくる。
私とは親しくないから
声をかけてくる人はいないけれど。
この重圧。
農家組合員はほとんどが男の人だが
わずかに女性の参加者がいた。
体調が悪いご主人の代打だった。
闘病が長くもう何年も前からだという。
もう一人は最近のこと。
ご主人が鬱病になったようだと言っていた。
ご自分も体調が悪く病院に通っていると。
ひとり男性でグループに入っていた人は
病み上がりで力仕事ができないからと言う。
癌と戦っている人だった。
4回目の手術をしてほっとしていたら今度は骨折。
右腕のギブスが痛々しかった。
ひとりは随分と前にご主人を亡くされていた。
若くして伴侶を失って、それからずっと参加していると。
知らなかった。
いや、知っていたのによく見ていなかった。
自分がこんな身の上になるまでは
他者の悲しみや辛さに気づかなかった。
みんなそれぞれの辛い話をさっぱりと語る。
しかしどこかさみしげだ。
明るくみせようとする素振りの背後に
じわじわとしのび寄る4を感じた。
ひとしきり身の上を話したあと
草むしりに専念した。
年に2回、農業地の草を刈る共同作業。
ダンは毎年この作業に参加していた。
毎年、草は生えてくるのに
ダンはもどってこない。

