もうだめだ

 ダンがいなくなって

ダンと一緒に行っていたところに行けなくなった。

ダンを知っている人に会うのが辛かった。

思い出を語るにはまだ早すぎる。

ダンに会いたくて

恋しくて仕方がないのに

面影を思い浮かべると

ああ、もういないんだな と認識が新たになって

悲しみがこみあげてくる。


ダンと一緒に行っていた犬の散歩道

スーパーやモール、専門店。

喫茶店、飲食店

整体院とマッサージ、内科院・・・

そして美容院まで同じ店。

こんなことってよくあるのだろうか。

時間をすり合わせていつも一緒に出かけていた。

店の人たちと和やかな会話。楽しいひととき。

帰りにはドライブしたり

ご飯を食べたり・・・

そんな日々はもう帰ってこない。

ダンと一緒に行っていた馴染みの店には

もう行っていない。

辛くて行けなくなってしまった。




先週から歯が痛い。


そうなのだ。

通っていた歯医者も同じ。

歯科医はダンのことをよく知っている。

助手のみんなも・・・


行けばダンの話が出るだろう。

いたたまれない。

きっと大泣きしてしまう。

行きたくない。

歯痛はずっとがまんしていた。


そのうち食べるのも辛くなってきた。

食べなくてもいいやとも思ったけれど

眠れなくてもいいやと思ったけれど

もうだめだ。

痛さに負けてしまった。



昨日、ついに歯科に行った。


かかりつけの医師は暖かく迎えてくれて

私を気づかって

何度もやさしい言葉をくれた。

ありがたいけれど

泣けて泣けてしかたがなかった。





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