さみしい病
少し前に、 さみしい と書きました。
3月末は別れの時、
そして4月は新しい年度が始まって
みな慌ただしく動き出していました。
そんな中、高熱が出て
ひどい風邪をひいて寝込んでしまったのです。
どこにも行かず、
老母にうつるかもしれないと
ほぼ、部屋にひきこもって
寝たり起きたり。
今まで風邪をひいても
いや、風邪気味かな?という程度で
早めに寝たら翌日には何事もなく
寝込むようなことがなかった。
部屋の中でひとり
ベッドに横になっていると
それはそれはよからぬことばかりが
浮かんでくる。
このまま寝たきりになるんじゃないか
ひとりぼっちで、
もう目が覚めないんじゃないか。
たかが、風邪なのに、
情けないこと。
ダンがいた頃は
早く治さなきゃ、と思っていたと思う。
滅多に体調を崩さなかったのは
家事もあるし家業もあるし
ダンの面倒を見なければいけないから
寝てなんかいられない と緊張していた。
体力があったな と思う。
朝、ダンの顔色を見て
ご飯の用意をして
掃除をして
洗濯物を整えて
身の回りの世話や世間話
一緒に仕事をしたり
出かけたり
1日が終わっておやすみを言うまで
日常のルーティンが事細かにあった。
それらがなくなって
時間だけが有り余っている
何も疲れることがないはず。
むしろ休養ばかりになってしまったのに
風邪をひいてしまったのは
こころのつっかえ棒がなくなったからだろう。
ダンがいなくなって5ヶ月が経った。
世間の人はもうダンのことを忘れている
いやなことは忘れてしまいたいのだ。
私は忘れられない。
犬と散歩に行っても
誰にも会わないようにしているし
義姉から電話があったぐらい。
妹とラインで
要りようなものの購入を頼んだだけ。
誰とも喋っていない。
ひとりぼっち が際立っていた。
そんなとき、病気になった。
部屋でひとり。
世界から取り残された孤独感。
さみしいと病気になる。
病気がさみしさを増幅させる。
どんどん分裂して広がって
こころを貪り蝕んでいく。
このウィルスは根絶できない。

